コナン・ドイル延原謙訳『シャーロック・ホームズの思い出』新潮文庫

白銀号事件

 競馬に出走予定の名馬の失踪と、その調教師の惨殺。実はその調教師は不倫相手がいて、お金が必要で、その馬をこっそり連れ出して、目立たないように傷つけて、お金を得ようとしたところ、馬にけられて亡くなる。馬はライバルの馬がいる隣の厩舎に迷い込み、閉じ込められる。

 

黄いろい顔

 ある仲のよい夫婦がいたが、その妻がある日から向かいの家にコソコソ行くようになる。妻はアメリカにいたころ夫と子供が一人いたが、病気で2人とも亡くしてイギリスに帰ってきたと今の夫は思っていた。しかし、子供は生きており、体が弱かったのでアメリカの召使の乳母のもとにおいてきた。前の夫は黒人であり、子供も黒人であった。子供にどうしても会いたくなって向かいの家に呼び寄せたが、黒人の娘がいると分かったら、今の夫に嫌われるかもしれないと思い隠れて会っていた。

 真相がすべて明らかになると、夫はそのかわいい娘を抱いて、一緒に暮らそうといった。

 

株式仲買店員

 会社が倒産し、別の勤め先がやっと見つかったパイクロフトという男に、ある男がもっといい条件で採用したいと持ちかける。その目的は、この男の仲間がパイクロフトに成りすまして、会社に入り込みお金を盗むためであった。しかし捕まる。

 

グロリア・スコット号

 ホームズが探偵を自分の仕事にすることを決めた事件。学生のころ友人と、その父親の家に遊びに行く。その友人の父親の前でホームズが観察と推理を披露すると、探偵で身を立てるようにと勧める。

 父は突然訪ねてきたハドスンを恐れる。父は昔、会社の資金を流用して捕まり、オーストラリア行きの船グロリア・スコット号に囚人として乗る。そこで囚人の反乱に加わり、半ば成功するも方針の違いから父たちはボートに乗り離れる。その後、グロリア・スコット号は囚人と乗員との戦いで爆発する。父らは引き返し、乗員のハドスンを救出する。

 身元を偽り、オーストラリアで成功してイギリスに帰るも、その過去を知るハドスンを恐れ、かつての仲間からハドスンが暴露するという手紙を受け取り、もともと心臓の弱い父は亡くなる。

 

マスグレーヴ家の儀式

 マスグレーヴ家の執事はある夜、代々伝わる儀式文をこっそり研究していたところを主人に見つかり暇を出される。その後執事は失踪。その儀式文は祖先が遺した宝の在り処を示すもので、執事はそれを奪おうとするも、女中に裏切られ、閉じ込められて死亡。女中は証拠隠滅のため池に捨てる。ホームズはその儀式文を解読し事件を解明する。

 

背の曲がった男

 妻は背の曲がった男に会い、その後、夫を非難し、そこに入ってきた背の曲がった男を見て夫は卒中で亡くなる。

 その男はかつて妻と結婚を約束していたが、当時、軍の上司であった夫は、敵に内通し、その男を敵に捕らえさせた。その後、長い苦難を経験し、醜い姿になって帰ってきた。

 

入院患者

 ある医師の開業に出資した男は、入院患者という体裁でその医院に住んでいた。しかし、ある日、自殺を装い殺される。彼は銀行強盗の犯行グループの一人であったが、捕まったあと仲間を裏切った。その復讐のため襲われる。

 

ギリシャ語通訳

 ホームズの兄マイクロフト登場。ホームズほど活動的ではないが、観察と推理の能力は勝るとも劣らず。ギリシャ語通訳が巻き込まれた事件を兄から紹介される。お金持ちの娘のギリシャ人がイギリスで男にだまされ駆け落ちしそうになる。止めようと来た兄も捕まり、財産を譲り渡す文書に署名するよう強迫するため件の通訳を呼ぶ。最後まで拒否し、兄は殺されるが、通訳は救出される。犯人は逃亡するが、後に新聞で殺害されたとの報が入る。

 

海軍条約文書事件

 ある重要な外交文書の写しをパーシイが作成していたところ、少し離れた隙に紛失する。もともと一緒に帰る予定だった婚約相手の兄が、たまたまパーシイがいないときに部屋に入り、文書を見つけ、その価値を知り、株に手を出し失敗してお金が必要だったため盗んだのであった。家に帰り部屋の床下に隠したが、パーシイがショックのため病人となってその家に帰ってきて、その部屋を明け渡さなければならなくなった。その後、婚約者である妹などがずっと付き添っていたため文書を取り返せず、その自体を見破ったホームズに捕まる。

 

最後の事件

 モリアティ教授登場。ホームズはさまざまな事件に取り組む中で背後に大きな組織があることに気づく。そのトップがモリアティ教授であった。ホームズとモリアティ教授との幾度にもわたる戦いの末、彼ら一味を捕まえる一歩手前までこぎつける。その間ホームズは身を隠そうと大陸に渡るが、モリアティ教授は逃げのび、ホームズと再び闘い、二人とも滝つぼの中に落ちる。死体は収容されないまま、最後をむかえる。

アガサ・クリスティー清水俊二訳『そして誰もいなくなった』ハヤカワ文庫

ネタバレあらすじ

 

 10名の者がU・Nオーエン氏にインディアン島に招待される。元判事ウォーグレイブ、家庭教師クレイソーン、元大尉ロンバート、信仰あつい老婦人ブレント、元将軍マカーサー、医師アームストロング、遊び人青年マーストン、元警部ブロア、召使ロジャースとその夫人。

 

 10人が島の邸の中でくつろいでいたとき、急に誰かの声がし、各人の殺人の罪を述べ立てた。内容は被害者の名前のみの簡単なものであったが、それぞれ心当たりがあった。アームストロングは酔ったまま手術して患者を死亡させる。ブレントは召使が妊娠したことで解雇し、自殺に追いやる。ブロアは偽証で容疑者を獄中に追いやり、獄中で死亡。クレイソーンは家庭教師先の子供が溺死する危険あるのに、その子が死ねば恋人の男性が遺産を得るため放置し、死亡させる。ロンバートはアフリカの原地人の食料を奪い餓死させる。マカーサーは妻の愛人であった部下を生きては帰れない戦地に追いやり死亡させる。マーストンは車のスピードの出しすぎで子供を事故死させる。ロジャース夫妻は遺産を目当てに、主人が病気で苦しんでいるのに放置して死亡させる。ウォーグレイブは無罪が有力視されていた被告人に死刑判決を下す。

 

 声の正体は隣の部屋のレコードであった。その後、10名の者はインディアンの子守唄になぞらえて次々に殺害される。まず、マーストンが青酸カリの入ったお酒を飲んで、次にロジャース夫人が睡眠薬の多量摂取で、マカーサーが殴打で殺害される。捜索が行われるがオーエン氏は見つからず、オーエン氏は自分たちの中にいるということになる。そして、ロジャースが斧で、ブレントが青酸カリを注射で、ウォーグレイブがピストルで射殺される。アームストロングが失踪し、3人は探しに出かけるがブロアが邸に戻り落下物で殺害される。ロンバートとクレイソーンはアームストロングの溺死体を発見。二人は互いを疑い、クレイソーンがロンバートの銃を奪い射殺。クレイソーンが部屋に戻ると首をくくる輪が準備されていた。クレイソーンは射殺したこと、もしくは過去の罪の影響からか自殺する。

 

 オーエン氏の正体はウォーグレイブであった。漁師が海で拾った壜の中の手紙から判明。ウォーグレイブは法律では「正当」に裁くことのできない「殺人」を裁きたいという動機から計画。該当する者を探し出して島に招待し、隙を見て殺害していく。途中で、犯人を捕まえるためとだましてアームストロングを仲間にし、自らの殺害を偽装する。そして、その後の殺害も実行する。最後に手紙を書いて自殺。

『冒険』つづき

「唇の捩れた男」

 ワトスンは友人を探しにアヘン窟へでかけると、そこで老人に変装したホームズに出会う。ホームズは事件の捜査中であった。事件の内容は以下の通り。

 ネヴィル・セントクレアは仕事に出かけた。その夫人も、そのあと外出。途中で、アヘン窟のある建物の3階に主人の姿を見かける。驚いた夫人は主人のもとに駆けつけるが、そこには有名な乞食の「いざり」ヒュー・ブーンがいるばかりで、セントクレア氏の姿は無く、衣類だけが残されていた。

 未解決のままホームズとワトスンはセントクレア夫人宅へ行く。そこで、夫人は主人からの手紙が来たことを伝える。ホームズは一晩考え、答えにたどり着き、ワトスンと共にヒュー・ブーンが拘束されている留置場に向かう。寝ているブーンの顔を洗うと、そこにはセントクレア氏の顔があった。セントクレア氏は新聞記者時代、乞食の取材のため自身も変装して乞食になったところ、かなりの収入を得た。そこで、誰にも気づかれないようにこっそり変装して、乞食専門で生計を立てるようになっていった。

 

「青いガーネット」

 ある男が鵞鳥を落とし、それをピータースンが拾う。その鵞鳥の中から青いガーネットが出てくる。ホームズに届ける。その宝石はモーカー伯爵夫人のもので、盗難され、ジョン・ホーナーが容疑者として捕まっていた。

 ホームズは鵞鳥の落とし主を新聞広告で呼び寄せる。代わりの鵞鳥で満足したので盗難とは関係ないと見て、鵞鳥の入手先を聞く。入手先をたどっていくうちに、同じように鵞鳥を探している者に出会う。その者は盗難現場のホテルのボーイ長ジェームズ・ライダーであった。彼が犯人で、宝石を盗んで前科者のホーナーに罪を着せ、姉が商売で育てている鵞鳥に飲ませて運ぼうとしたが、別の鵞鳥と取り違えてしまったのであった。

 

「まだらの紐」

 ヘレン・ストーナー婦人がホームズ宅へ相談に訪れる。双子の姉ジュリアがいて、母は医師(零落した貴族)であるロイロット博士と再婚したがまもなく死亡。母はお金持ちで、娘たちが結婚すればその一部が娘たちのものになる。姉が結婚式近くになって死亡。夜中に叫び声がし、口笛と金物の落ちる音がして、「まだらの紐」という言葉を残し亡くなる。検死の結果、外傷も無く毒も検出されず。ヘレンも婚約、結婚式近くになって自分の寝室の修繕が始まり、姉の寝室で寝るようになる。その夜、口笛を聞いて恐ろしくなり、ホームズ宅を訪れる。

 ホームズとワトスンはロイロット宅に行き(ロイロットは外出中)、姉の寝室を調べる。窓やドアは閉じれば侵入不可能。ただし、部屋には隣の父親の部屋につながる穴があり紐が垂れ下がっている。ロイロット博士の部屋も調査し、ホームズは犯人を捕まえるためワトスンと共に姉の部屋で夜を過ごす。深夜、かすかな音がすると、ホームズはそれをステッキでたたく。まもなく隣の部屋からロイロット博士の悲鳴が聞こえ死亡。ロイロットは蛇で娘を殺害しようとしたところ、たたかれた蛇が戻ってきて逆にかまれる。医学に知識を利用して検出されない毒蛇を使用、噛んだ傷跡も小さいので見逃される。口笛は蛇を呼び戻すため、金物の音は蛇を金庫の中にしまう音であった。

 

「花嫁失踪事件」

 セントサイモン卿は結婚式の披露宴の中、花嫁のハティ・ドーランが失踪し、ホームズに相談。結婚式の途中、花嫁は花束を落とし、男が拾って渡す。その時から、花嫁の様子が少しおかしくなる。レストレード警部はセントサイモンの元交際相手フローラ・ミラーを疑い捜査し、池から花嫁の衣装を探し出し、そのポケットから花嫁を誘い出す手紙を発見。ホームズはその裏のホテルの代金のメモを見て花嫁の居所を見つける。ハティはアメリカにいたころフランクという青年と交際していたが、殺害されたとの記事が出て、あきらめ結婚しようとしていたところ式場でフランクに再会し、フランクに連れられ今回の失踪劇にいたる。

 

「ぶな屋敷」

 ヴァイオレット・ハンター婦人は奇妙な家の家庭教師を受けていいものか迷いホームズに相談。髪を切ることや、こちらの用意した服を着ることを要求する家だった。

 家庭教師に行き、そこで窓の外の謎の男や、恐ろしい犬、離れの鍵がかかった棟などがあった。ある日、鍵が開いていて中に入ると、閉じたドアの部屋の中に人の気配。怖くて逃げたところ、普段は気さくな主人ルーカッスルに捕まり脅される。ホームズに再び相談。

 ホームズとワトスンはその家に行き、部屋のドアを開けるが、そこには誰もいなかった。そこで主人に見つかり、主人はホームズらを襲わせようと犬を放したところ、逆に襲われ瀕死となる。

 部屋に閉じ込められていたのは娘アリスで、窓の外の男は恋人のファウラー。閉じ込めた動機は娘の財産をとられないためであった。ハンターさんは娘の代役を演じさせられていた。部屋にいなかったのは、ファウラーがアリスの味方である使用人のおかみさんとつながり、主人が留守のとき梯子を用意させて、部屋の天窓から救出したのである。

コナン・ドイル延原謙訳『シャーロック・ホームズの冒険』新潮文庫

あらすじ

 

ボヘミアの醜聞

 ボヘミア国王は若いころアイリーン・アドラーという女性と関係を持ち、二人で撮った写真を彼女に握られる。国王がこのたび結婚するに際し、その写真を結婚相手に送ると脅される。そこで、ホームズに相談。

 ホームズは変装して調査に出かけるが、たまたまアイリーン・アドラーとゴッドフリー・ノートンの結婚の証人として立ち会わされることになる。後日、再びホームズは変装してワトスンと共にアドラー宅まで行き、ホームズはけが人のフリをして入れてもらい、ワトスンは窓の外に隠れる。ワトスンは「火事だ!」と叫び、煙花火を投げ入れる。その時のアドラーの行動から、ホームズは写真の在り処を察知。御者に見られていたためひとまず退散。自宅に戻るとき何者かから「ホームズさん、こんばんは」と声をかけられる。

 翌朝、ホームズとワトスンは国王と共にアドラー宅へ向かう。しかし、すでにアドラーは夫のノートンと大陸に出国した後だった。写真の在り処にはアドラーからホームズへ手紙が残されていた。途中で気づき、男装して後を追いホームズに挨拶をしたこと、写真は脅迫には用いないがお守りとして持っておくことが書かれてあった。

 

「赤髪組合」

 質屋を経営している赤髪のウィルスンがホームズのところに相談に来る。半分の給料でかまわないということで雇った店員スポールディングがある日、新聞広告を見せに来た。そこには、髪が赤いことを条件とした赤髪組合の求人が書かれてあった。面接に行くと採用され、週4ポンドで昼間の4時間、大英百科辞典を書き写す仕事をした。Aの部が終わりかけたころ、仕事場に行くと、「赤髪組合は解散した」との貼り紙があり、途方にくれてやって来た次第とのこと。

 ホームズは質屋の前に来てステッキで地面をたたく。道案内を口実に店員の男を観察。店の裏には銀行がある。店員は有名な犯罪者ジョン・クレーであること、質屋から穴を掘って銀行の金貨を盗もうとしていること、その作業を悟られないためウィルスンに赤髪組合の仕事をさせていたことをホームズは見抜く。銀行の金庫に先回りして捕まえる。

 

「花婿失踪事件」

 メアリー・サザーランド嬢がホームズ宅へ相談に訪れる。母の再婚相手の継父ウィンディバンクは娘のサザーランドが結婚するのに反対する。サザーランドには伯父からもらった遺産があった。サザーランドはホズマー・エンゼルと知り合い婚約する。父がフランスへ行っている間に結婚式をするため教会に馬車で向かう。後から来るはずのホズマーが失踪。

 ホームズはウィンディバンクを手紙で呼ぶ。ウィンディバンクからの手紙とホズマーの手紙のタイプライターの特徴が似ていること等から、娘の遺産を保持し続けるために継父がホズマーに変装して娘をだましていたことが判明。

 

「ボスコム谷の惨劇」

 ボスコム谷でマッカーシーが殺害される。父と口論していた息子のジェームズが目撃者の証言から容疑者となる。ホームズは現場の痕跡、死ぬ間際に息子に言った言葉等(オーストラリアの方言や地名)から犯人をマッカーシーに農場を貸しているターナーと割り出す。

 ターナーはオーストラリアにいるころギャングをしていて大金を手に入れる。そのとき襲った相手の荷馬車の御者がマッカーシーであり、そのまま見逃す。イギリスに帰り生活していたところマッカーシーに見つかり脅される。マッカーシーは息子をターナーの娘アリスと結婚させたがる。それを嫌がりターナーマッカーシーを殺害。

 息子はホームズの異議で無罪。ターナーは病死。ジェームスは他の女にだまされて結婚していたが今回の件で破棄になり、アリスと結ばれる。

 

「オレンジの種5つ」

 ジョン・オープンショウがホームズ宅へ相談に訪れる。彼の伯父はアメリカで財産を作り帰国。ある日、手紙が届く。オレンジの種5つとKKKの文字。恐れた伯父は、屋根裏から金庫を持ってきて書類を燃やす。後日、伯父は溺死。自殺と判定される。遺産を相続した父にも同じ手紙が届き、「書類を日時計の上に置け」と指示される。その後、父は死亡し事故死とされる。そして昨日、ジョンに同様の手紙が届く。

 ホームズは手紙の消印から犯人像を帆船の船員と絞り込む。しかし、翌朝、オープンショウ事故死の新聞記事。ホームズは消印と船舶名簿、新聞記事から犯人を割り出し捕らえようとするも、その船は嵐にあい沈没。

コナン・ドイル延原謙訳『四つの署名』新潮文庫

ネタバレあらすじ

 

 ワトスンとホームズがおしゃべりしているところへ、おかみのハドスン夫人がモースタン嬢の面会申し出を伝える。

 モースタン嬢が事件について話す。父モースタン大尉はアンダマン島で囚人警備隊の将校をしていた。母は早くになくなる。モースタンは本国の寄宿学校で一人暮らし。父が休暇で帰ってくるが失踪。父の友人のジョン・ショルトー少佐に尋ねるも不明。その後、モースタンはフォレスター夫人の家庭教師となる。新聞広告にモースタンの現住所が知りたいとの広告。知らせると毎年、匿名住所不明の者から真珠が届くようになる。そして、今日、二人の友人を同伴して会いに来るようにとの手紙を受け取ったので相談に参ったとのこと。

 

 ワトスン、ホームズ、モースタンは指定された場所へ向かう。その際、モースタンは父の残した書類をホームズに渡す。そこには、建物内部の図面と「四つの署名ージョナサン・スモール、マホメット・シン、アブズラ・カーン、ドスト・アクバル」とある。指定された場所に到着すると、馬車に乗せられてジョン・ショルトーの息子サディアス・ショルトー宅に連れて行かれる。

 

 サディアスは三人に話を聞かせる。病床の父はサディアスと双子の兄バーソロミューに向かって次のように話した。父ショルトー少佐とモースタン大尉はひょんなことからインドにいるとき莫大な財宝を手に入れる。父は一足先に財宝を持って帰国。父は木の義足をつけた男をひどく恐れ、人違いでピストルを撃つ。ある日、手紙を受け取ってから体調が悪化し床に伏すようになる。モースタン大尉が休暇で帰国した際、父宅を訪れ財宝の分配について話し合うが、口論となり、元々心臓が悪かったモースタン大尉は倒れて財宝の箱に頭をぶつけて亡くなったとのこと。自分が疑われること、財宝のことが公になること、召使ラル・チャウダーの勧めもあって隠蔽。その賠償として自分が死んだらモースタン大尉の分を子に分配するよう息子たちに言う。財宝のありかを伝えようとしたときに、窓に不審な影を認めて叫び、こと切れる。

 

 財宝を探し続け、ついに兄は屋根裏にそれを見つける。その分け前を得るために三人は兄の住むポンディシェリー荘に向かうが、そこで兄が殺害されているのを発見。財宝も盗まれる。ホームズの推理。ドアと窓には内側から鍵がかかっている。窓にはドロの足跡、室内には木の義足の足跡。部屋の隅にロープ。天井には穴があり屋根に出られる天窓とつながっている。屋根裏には小さな足跡。木の義足の男には身軽で小柄な共犯者がいて、そいつが屋根から侵入し、窓からロープをたらして犯行が行われたと推測。犯人の一人は強い臭いのするクレオソートに足を突っ込む。バーソロミューは毒矢で殺害される。ジョーンズ刑事到着。サディアスを逮捕する。ホームズは木の義足男ジョナサン・スモールとその共犯者が犯人だと伝えるが無視される。

 

 ワトスンはモースタン嬢を送りと届けて、犬のトビイをつれて再びポンディシェリー荘に戻ってくる。ホームズとワトスンはトビイとともに犯人を追跡する。その途中、ワトスンの犯人に関する質問にホームズが答える。ショルトーは囚人警備隊の将校だった。一人で財宝を持って帰国。白人の木の義足の男を人違いで撃つ。四つの署名の紙切れのうち白人の名前はジョナサン・スモール。自分で財宝を持って帰らなかったことから囚人。脱走してショルトー少佐に手紙を出し、復讐を図ったが、警備が厳重で果たせず今回の件にいたったと推測。トビイは二人を河岸まで連れてくる。ホームズは近く貸し船屋でおかみに話を聞く。それによると、主人は木の義足の男に頼まれてオーロラという汽艇を出したまま帰ってきていないとのこと。

 

 ホームズらはいったん帰宅して休み、浮浪少年たちからなるBaker Street Irregularsに河岸を捜索させるが成果なし。汽艇を必要なときにすぐ使えて、隠せる場所は船の修理工場だと考え、ホームズは老船員に変装して自ら捜索し発見。ジョーンズ刑事に協力してもらい、高速船を出して彼らが逃亡するのを待ち構える。高速船同士の追走劇の末、共犯者の黒人の小男は毒矢を吹きかけたところを銃殺、木の義足男ジョナサン・スモールは逮捕。ワトスンは財宝をモースタン嬢に届けるが、中は空っぽ。スモールがテムズ河に捨てていた。財宝なくなった事で、これまでためらっていたワトスンはモースタン嬢に結婚を申し込み承諾される。

 

 ジョナサン・スモールの話。インドで最初は兵隊をしていたがガンジスでワニに足を食われて、その後植民地経営の畑で監督の仕事をしていた。インドで反乱が起こりスモールらイギリス側は城塞に集まり身を守っていた。門番をしていたとき、四つの署名の残りの三人から、王族の召使アクメが反乱から守るため城塞に財宝を隠しに来るところを始末して、財宝を奪おうともちかけられ受け入れる。アクメは財宝を隠すための道案内として、アクバルに事情をうちあけていた。アクメは殺され、財宝は隠され、安全になってから掘り返し四人で分配することを示した「四つの署名」が作成された。しかし、アクメ殺害が明らかとなり四人は囚人となる。囚人将校だったショルトーはギャンブルで借金がたまっていた。自由になりたいスモールは三人と相談して、財宝の一部をショルトーらにも分配することと引き換えに、脱走の手助けをするという条件をのませて、財宝のありかを教える。ショルトー少佐は裏切り一人で財宝を持ち帰る。スモールは復讐を決意し、現地人のトンガを仲間にして脱走する。息子のバーソロミューを殺したのは本意ではなく、トンガの暴走だったことを伝える。

 スモールが明らかにしなかった内部の共犯者は執事のラル・ラオであったとホームズは推測。

 

 

 

 

コナン・ドイル著、延原謙訳『緋色の研究』新潮文庫

 あらすじ(ネタバレ)

 

 医師ワトスンはアフガニスタンでの戦争で傷つきロンドンに帰国する。手ごろな住まいを探している時、元助手のスタンフォードと再会する。その紹介で、ちょうどルームシェアの相手を探していた私立探偵シャーロック・ホームズと出会う。

 

 事件発生。午前二時、空き家でドレッバーという名の男の遺体が発見される。刑事グレグスンから助けを依頼されたホームズはワトスンと現場に行き調査する。その後、ドレッバーの秘書スタンガスンもホテルで殺害される。

 

 ホームズは浮浪児のウィギンズに馬車を連れてこさせる。その御者を部屋に上がらせてきたところで手錠をかけ犯人ジェファスン・ホープを逮捕。

 

 場面は変わり、アメリカ。荒野で餓死しかけているジョン・ファリアとその養女ルーシイ・ファリアはモルモン教徒の一団に助けられ、共に暮らすことになる。成長したルーシイはモルモン教徒たちの集落の外でホープと出会い、恋をし結婚の約束をする。しかし、ルーシイはモルモン教徒のドレッバーもしくはスタンガスンのどちらかとの結婚を強制される。ジョンとルーシイはホープの助けで集落を脱出するが途中で捕まり、ジョンは殺され、ルーシイは望まぬ結婚に病み亡くなる。ホープはドレッバーとスタンガスンに復讐すると決意する。

 

 ホープは二人を追い続け、馬車の御者として泥酔のドレッバーを空き家に誘い込み、見た目が同じ二つの薬のうちひとつを選ばせ、もう一方をホープ自身が飲み、ドレッバーを毒殺する。スタンガスンにも同じやり方をしようとするが抵抗され刺殺する。

 

 ホームズの推理。空き家で得た物。馬車の跡から辻馬車。二つの足跡、一方は歩幅から背の高い男、もう一方は靴跡から流行の服装をした男。室内に流行の服装をした男の遺体があり、口から酸っぱい匂いがしたことから毒殺と判断。犯人は背の高い男。現場に残された指輪から動機は女性関係。ホームズはクリーブランドの警察署長に電報してドレッバーの結婚に関する情報を教えてもらい、ホープに狙われていることを知る。

 

 

 

シェイクスピア『ヴェニスの商人』新潮文庫(福田恆存訳)

<あらすじ>

ヴェニスの商人アントーニオーは全財産を数隻の船の船荷に投資している。親友のバサーニオーは大きな遺産を持ったベルモントのポーシャに求婚したいが、財産がないので困って相談する。アントーニオーは自分の信用を利用するように言う。バサーニオーは金貸しのユダヤ人シャイロックに3千ダカット期間3ヶ月で貸すよう頼む。アントーニオーとシャイロック、互いに相手を嫌っている。利子に関する問答。無利子で貸すが、かたとしてアントーニオーの体の肉1ポンドを条件とする。

 

アントーニオーとバサーニオーの友人ロレンゾーはシャイロックの娘ジェシカを連れ出し駆け落ちする。同じく2人の友人のグラシャーノーはバサーニオーとともにベルモントへ出航する。ポーシャの家ではモロッコ王やアラゴン王が求婚に来る。金、銀、鉛、3つの箱のうち正しいものを選べば結婚できる。2人の王は失敗。バサーニオー成功、ポーシャから指輪を受け取る。グラシャーノーもポーシャの小間使いネリサと結婚。アントーニオーの船が難破したとの噂が広まる。バサーニオーはアントーニオーから船が難破し期限が切れたのでかたを渡さければならないとの手紙を受け取る。バサーニオー、ポーシャから6千ダカットもらいヴェニスへ。ポーシャは召使に命じて、従兄のベラーリオー博士に手紙を渡し、博士から書類と衣服をもらってすぐ戻って来させる。ポーシャとネリサはこっそり男装して後を追う。

 

ヴェニスの法廷。シャイロックはバサーニオーが倍の額返済すると言っても拒否し、証文通りのかたを要求。公爵はベラーリオー博士からの手紙を受け取り、法学博士(ポーシャ)とその書記(ネリサ)を招き迎える。ポーシャは慈悲を促すが拒否される。シャイロックは正義(法律をそのまま、証文をそのまま実行すること)を要求し認められる。しかし証文にはない血を少しでも流したら全財産没収と言われる。シャイロックあきらめて引き下がろうとするが、市民の生命に危害を加えんとした罪のため財産の半分はアントーニオーにもう半分は国庫に取られ、生死は公爵の裁量に委ねられると言い渡される。2人の慈悲で罰はアントーニオーの分(ロレンゾー夫妻に譲る)だけとなる。その条件としてキリスト教への改宗と死後の財産を娘夫妻に譲渡することをのませる。

 

バサーニオーは法学博士にお礼をしようとするが遠慮され、なおもお願いすると指輪を要求され躊躇するが渡してしまう。グラシャーノーも書記に同じことをする。ポーシャとネリサが家に戻る。次いでバサーニオー、アントーニオー、グラシャーノーもポーシャの家に来る。指輪の件で2人は責められるがネタばらしで仲直り。ポーシャはアントーニオーの船が無事だったことを知らせる。アントー二オーは命を救ってくれたお礼を言い、めでたしめでたし。

 

<感想>

ベラーリオー博士かっこいい。

シャイロックがいくら「悪者」でも法律を曲げることはやっぱできないんですね。

シャイロックに唾を吐いたり足蹴にすることは違法じゃないの?てか体の肉を切り取ることが借金のカタとして当時は法的にみとめられてたのかな。