桐野夏生(2002)『OUT』講談社文庫(単行本は1997)

<あらすじ(ネタバレ)>

 香取雅子43歳、旦那と息子、孤独。城之内邦子30代?太ってるブランド好き借金あり。吾妻ヨシエ50半過ぎ、姑の介護、娘2人、貧しい。山本弥生30代?2人の小さい息子と旦那。佐竹光義40代?クラブと賭博場のオーナー、女を犯しながら殺した過去あり。

 

 4人は弁当工場深夜勤務。職場仲間。弥生の旦那は佐竹の所で夫婦で貯めた500万を使い果たす。給料は家に入れていない。弥生は旦那と喧嘩してみぞおちを殴られる。弥生は旦那をベルトで絞め殺す。弥生は雅子に相談、協力してもらう。ヨシエは娘の修学旅行費を借りてたこともあり協力。雅子の家の風呂場で弥生の旦那の遺体をバラバラにする。そこに旦那に逃げられて借金返済に困ってる邦子が香取を頼って来る。お金のために邦子も参加。

 

  邦子の捨てたところから遺体発見される。邦子は旦那に逃げられたので弥生を借金の保証人にする。雅子が保証人契約を破棄させる。街金の十文字は疑う。佐竹は弥生の旦那に店でのトラブルで暴行し、疑われて逮捕される。十文字は借金の棒引きを餌に邦子からバラバラを聞き出す。雅子は昔、信金に勤めていたが、男女差別と上司とのトラブルにより辞めていた。その頃の雅子をかっこいいと思っていた十文字は遺体バラバラビジネスを雅子に持ちかける。4百万で引き受ける。ヨシエも百万で参加。初老の男を解体。

 

 佐竹は釈放されたが店は潰れ前科がバレる。犯人探しを始める。調査し全てを知り工場の警備員になる。その警備員に惚れた邦子は佐竹の部屋に入り殺される。十文字経由で邦子の遺体が雅子とヨシエに送られる。ヨシエは報酬をもう一人の娘に持ち逃げされて高校の娘の進学のため参加した。雅子は報酬の7百万をロッカーを持ってる同じ工場の日系ブラジル人宮森カズオに預ける。カズオは以前雅子に痴漢未遂、許してもらう。佐竹は弥生を脅し保険金5千万円を奪う。ヨシエの家が火災。

 

 雅子は逃亡するため金をカズオに返してもらいに行く。カズオの抱きしめられて別れる。工場の駐車場で佐竹に捕まる。廃工場に連れて行かれて暴行される。佐竹は昔の事件の時、大きな快楽を感じていた。雅子にも同じもの、それ以上のものを望んで暴行。雅子もそれを理解し受け入れつつあった。しかしポケットに入っていた遺体解体用のメスで佐竹の顔を深く切る。助けようとするも死亡。雅子は5千6百万を手に航空券を買うつもりでどこかへ行く。

 

<感想>

 自暴自棄になってたりお金に困ってたりすると、こんなことに協力しちゃうもんなのかな?深夜の弁当工場勤務かあ、、、。自由になろうとするほ泥沼にはまっていく。解説で松浦さんは、読者がラストの「解放」にカタルシスを得ると言ってるけど、私はラストで主人公が「解放」されたとは感じませんでした。