ロバート・A・ハインライン(1979)『夏への扉』早川書房(原著は1957)

<あらすじネタバレ>

主人公ダニエル・ブーン・デイヴィス(ダン)、相棒の牡猫ピート。マイルズ・ジェントリイという親友。マイルズは娘の一人ある未亡人と結婚、その妻はまもなく亡くなる。娘の名はリッキィ(フレドリカ)、ピートと仲良しダンが好き。ダン(技師)とマイルズ(経営)は文化女中器(ハイヤード・ガール、家事ロボット)会社を始める。その後、ベル・ダーキンという女が加わる。ダンはベルと婚約、株の一部を譲渡。その後、ダンは2人の策略により会社をクビになり、特許や万能フランクなどを奪われる。

 

ダンは落ち込んで冷凍睡眠しようとするが思い直し、マイルズとベルの所へ車で抗議に行く。その前に株をリッキイ(ガールスカウト中)にアメリカ銀行を仲介させて譲渡する手紙を書いて出す。マイルズとベルは結婚していた。言い争いをし、ダンがベルは詐欺師だというとマイルズは動揺しベルはキレてダンに催眠自白強制剤の注射を打つ。ピートが2人と戦い相手にけがを負わせる。そしてピートは閉まっていたはずの網戸から出ていく。2人は株を奪い返そうと車を探すが見つからない。ダンは注射のせいで冷凍睡眠し1970年から2000年へ。

 

冷凍場で目を覚ます。シュルツ夫人という人から連絡があったと聞かされる。ロボットに会う。自分の作ったものに似てたがアラディン社製。保険会社が倒産していて予定していたお金が入らないままそこを出る。自動車スクラップで働きながら図書館で勉強。アラディンに出かけていって製図機ダンを見せてもらう。自分が作った印象を受ける。製図機ダンの特許の最初日付は1970年。マイルズとベルが文化女中器の経営者ではないことが判明。そして文化女中器に求職に行く。創設者だと知らせると宣伝用に採用される。

 

シュルツ夫人ことベルに会う。マイルズはあれから2年後に死んだこと、リッキィはおばあちゃんの所へ行ったこと、万能フランクが消失して経営がうまくいかず会社を売り渡したこと、マイルズがベルを追い出してリッキイに何もかもあげたことを知る。また別の調査で、ダンがリッキイに渡すはずだった株はハイニックなる人物の所有となっていることが判明。さらにアラディン社の製図機ダンなどの発明者を調べてみるとD・B・デイヴィスと記されていた。新聞の冷凍睡眠からの蘇生告知欄にF・V・ハイニックとあるのを見つけ、ハイニックがリッキイの祖母の名前であることを思い出す。フレドリカ・ヴァージニア・ハイニック=リッキイ。リッキイは祖母が死んだ20年前に冷凍睡眠に入る。ダンは目覚めて出て行ったリッキイを探し見つけるが、彼女が誰かと結婚していると知り諦める。

 

ダンはタイムマシンを開発したトウィッチェルのとこへ行き再び1970年へ。そこでジョンとジェニィのサットン夫妻に会い仲良くなる。未来から持ってきた金属の金を元手に製図機ダンと護民官ピートの開発にかかる。完成してもうすぐ未来に帰らなければならないダンはジョンにこの製品の会社の経営をやってもらう。社名をアラディンにしてもらう。

 

ダンはタクシーで昔のダンが抗議に行っているマイルズ宅へこっそり行き、万能フランクとピートを連れて昔のダンが乗ってきた車で立ち去る。そしてリッキイのいるガールスカウトキャンプを訪ねる。リッキイはベルが嫌いで正式な養子ではなかったのでハイニックおばあちゃんのところへ行く。その際、ダンは再び30年の冷凍睡眠に入ること、そして21歳になってまだダンやピートに会いたかったら冷凍睡眠に入るように言い、その時は目覚める前に待っていると伝える。ダンとピートは冷凍睡眠に入りリッキイが目覚める前に起き、出迎える。ダンとリッキイ結婚。めでたしめでたし。

 

<感想>

・なんど人に騙されようとも、なんど痛い目を見ようとも、結局は人を信用しなければ何もできないではないか(291)

・嘘っいうものは、悪用しちゃいけないけど、つかわなきゃならない時もあるんですって(310)

・リッキイのタイムパラドックスに関するダンの説明への返答がなんかよさげだった