アガサ・クリスティー清水俊二訳『そして誰もいなくなった』ハヤカワ文庫

ネタバレあらすじ

 

 10名の者がU・Nオーエン氏にインディアン島に招待される。元判事ウォーグレイブ、家庭教師クレイソーン、元大尉ロンバート、信仰あつい老婦人ブレント、元将軍マカーサー、医師アームストロング、遊び人青年マーストン、元警部ブロア、召使ロジャースとその夫人。

 

 10人が島の邸の中でくつろいでいたとき、急に誰かの声がし、各人の殺人の罪を述べ立てた。内容は被害者の名前のみの簡単なものであったが、それぞれ心当たりがあった。アームストロングは酔ったまま手術して患者を死亡させる。ブレントは召使が妊娠したことで解雇し、自殺に追いやる。ブロアは偽証で容疑者を獄中に追いやり、獄中で死亡。クレイソーンは家庭教師先の子供が溺死する危険あるのに、その子が死ねば恋人の男性が遺産を得るため放置し、死亡させる。ロンバートはアフリカの原地人の食料を奪い餓死させる。マカーサーは妻の愛人であった部下を生きては帰れない戦地に追いやり死亡させる。マーストンは車のスピードの出しすぎで子供を事故死させる。ロジャース夫妻は遺産を目当てに、主人が病気で苦しんでいるのに放置して死亡させる。ウォーグレイブは無罪が有力視されていた被告人に死刑判決を下す。

 

 声の正体は隣の部屋のレコードであった。その後、10名の者はインディアンの子守唄になぞらえて次々に殺害される。まず、マーストンが青酸カリの入ったお酒を飲んで、次にロジャース夫人が睡眠薬の多量摂取で、マカーサーが殴打で殺害される。捜索が行われるがオーエン氏は見つからず、オーエン氏は自分たちの中にいるということになる。そして、ロジャースが斧で、ブレントが青酸カリを注射で、ウォーグレイブがピストルで射殺される。アームストロングが失踪し、3人は探しに出かけるがブロアが邸に戻り落下物で殺害される。ロンバートとクレイソーンはアームストロングの溺死体を発見。二人は互いを疑い、クレイソーンがロンバートの銃を奪い射殺。クレイソーンが部屋に戻ると首をくくる輪が準備されていた。クレイソーンは射殺したこと、もしくは過去の罪の影響からか自殺する。

 

 オーエン氏の正体はウォーグレイブであった。漁師が海で拾った壜の中の手紙から判明。ウォーグレイブは法律では「正当」に裁くことのできない「殺人」を裁きたいという動機から計画。該当する者を探し出して島に招待し、隙を見て殺害していく。途中で、犯人を捕まえるためとだましてアームストロングを仲間にし、自らの殺害を偽装する。そして、その後の殺害も実行する。最後に手紙を書いて自殺。