バルザック『ゴリオ爺さん』岩波文庫

 パリにある下宿屋ヴォケェ館で暮らす人々。女主人のヴォケェ夫人。使用人のシルヴィーとクリストフ。入居当初は裕福そうだったが、だんだんと貧しくなっているゴリオ爺さん。地方から法律を学びにパリに来た青年ウージェーヌ・ド・ラスティニャック。謎めいたやり手風の男ヴォートラン。未亡人のクーチュール夫人とその遠縁にあたりお金持ちの父親から娘と認知してもらえないヴィクトリーヌ・タイユフェル嬢。老婆のミショノー嬢。老人のポワレ

 

 パリの社交界に入って立身出世を望むラスティニャックは叔母の伝手でボーセアン子爵夫人の舞踏会に招待され、そこでアナスタジー・ド・レストー伯爵夫人に一目ぼれする。レストー夫人の招待を受けたラスティニャックは夫人宅を訪問する。そこにはゴリオ爺さんとレストー夫人の恋人マクシム・ド・トラーユ伯爵がいた。さらに主人のレストー伯爵も帰宅。そこでラスティニャックはゴリオ氏のことを「ゴリオ爺さん」と呼んだことでレストー夫妻から嫌われてしまう。

 

 次にラスティニャクはボーセアン夫人宅に向かう。そこにはボーセアン夫人と恋仲のアジュダ=ピント侯爵がいた。しかし、アジュダ=ピント侯爵はロシュフィード家の令嬢と結婚する予定であり、ボーセアン夫人はそのことを知らない。アジュダ氏が出て行き、友人のランジェ公爵夫人が来る。そこでラスティニャックはレストー夫人はゴリオ爺さんの娘だと知る。

 ゴリオ爺さんは元は製麺業や小麦の販売で成功した商人であり、大金を娘に譲って上の娘アナスタジーをレストー家に嫁がせ、下の娘デルフィーヌを新興の銀行家ニュンシンゲーヌ男爵に嫁がせた。娘たちの夫はゴリオ爺さんを嫌い、だんだんと疎遠になっていく。

 ボーセアン夫人はラスティニャックにデルフィーヌを紹介する。妹のデルフィーヌは貴族達の集う社交界に憧れながらも入れずにいたので、ラスティニャックを介して社交界に入ることを望むだろうとボーセアン夫人は言う。

 

 ラスティニャックは社交界で成功するためのお金を得るため母と妹たちに手紙を出す。そしてお金を得る。ヴォートランに大金を得るためヴィクトリーヌと結婚するようそそのかされる。デルフィーヌとラスティニャックは恋仲になる。脱獄囚であったヴォートランはミショノー嬢に密告され警察に捕まる。娘たちにお金を上げるために一文無しになるゴリオ爺さん。レストー夫人がトラーユの借金返済のため父に頼むが無理で、ラスティニャクが工面する。その後、ゴリオ爺さんの病状が悪化し、ラスティニャックと友人のビアンションが看病するも、娘の二人とは会えないまま亡くなる。